着物っていつ着るの?着物を着る機会フォーマル着物編!

着物に興味を持ち始めた方からよく聞かれるのが、「着物っていつ着るんですか?」「着物ってどこに着ていけますか?」

日常で着物姿を見る機会が少ない現代では、知らなくって当たり前!そんな初心者の方向けに着物を着る機会について解説していきたいと思います。

今回はフォーマル着物編!

着物を着る機会 フォーマル編 はじめに

人の一生にはいくつかの節目があり、その節目ごとに儀式が行われます。

日本の古くからのしきたりのなかで、人生の通過儀礼として現代にも残っている代表的な儀式の起源や意味合いと、その際に着るフォーマルな着物についてみていきましょう。

着物を着る機会 フォーマル編 お宮参り

無事な出産のお礼として、また赤ちゃんが健やかに育つようにとの願いを込めて、氏神様や守護神に母子ともども参詣する風習です。氏神様に氏子として認めていただく、また、その地域の一員としてみんなに認めてもらうという意味合いもあります。

地方によって違いはありますが、生後1か月後に行うのが一般的です。

祖母が抱いて、母親と一緒にお参りします。祖母が抱くという風習は、産後の母体への思いやりから生まれたものといわれています。

◆赤ちゃんの着物:初着(うぶぎ)を着せ、その上に「お祝い着」を着せます
◆母親や祖母の着物:色無地、江戸小紋、付下げ、訪問着などの礼装のきものに袋帯で二重太鼓

着物を着る機会 フォーマル編 七五三

11月15日頃、女の子は3歳、7歳、男の子は5歳(3歳でも)に達した子供に晴れ着を着せ、神社に幸運を祈願するために参拝する行事です。

平安時代から別々に行われていた儀式を現代では三つまとめて行うようになりました。

七五三のそれぞれの起こりについてもみてみましょう。

三歳児の祝いの起こり「髪置きの儀」
平安時代は男女ともに誕生して七日目に産毛を剃り、三歳までは坊主頭でした。三歳の春に儀式をし、それから髪を伸ばし始めます。

五歳児の祝いの起こり「袴着の儀」
男女ともに三~四歳から六~七歳のときに初めて袴を着ける儀式です。江戸以降に男子のみの風習となりました。

七歳児の祝いの起こり「帯解きの儀
鎌倉時代に入り、子供はきものに紐を付けて着ていました。この紐を取って大人と同じように着て帯を結ぶ儀式が室町時代より始まりました。

◆3歳児の着物:着物に被布(ひふ)姿
◆5歳児の着物:着物に羽織袴を着て、懐剣(かいけん)と白扇(はくせん)を持ちます
◆7歳児の着物:長い袖の着物に祝い帯を締め、帯下にはしごきを結び、筥迫(はこせこ)を胸に入れ、扇子を持ちます
◆母親の着物:色無地、江戸小紋、付下げ、訪問着などの礼装のきものに袋帯で二重太鼓

着物を着る機会 フォーマル編 十三参り

今から230年ほど前に、京都・嵐山の法輪寺で行われたのが始まりと言われています。

数えで13歳になる男女が4月13日頃に虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)や全国各地の神社にお参りし、13歳の厄難を払い、知恵を授かるように祈願します。

主に西の地方で行われていた風習ですが、最近は行事の意義が認識され、関東各地でも行われるようになりました。

それまでは子供用の着物を着るものですが、十三参りから大人を同じ断ち方をした着物を着て大人と同じ袋帯を締めます。

◆女の子の着物:小紋、振袖に袋帯で変わり結び

着物を着る機会 フォーマル編 成人式

現在は二十歳を成人とし、一月の第二月曜が成人の日と定められ、各地で式典が行われています。

元服(げんぷく)という、奈良時代から始められた男児が大人になったことを表す儀式が元になっています。

◆女性の着物:振袖に袋帯を変わり結び
◆男性の着物:紋付羽織袴

最近ではお母様やおばあ様の振袖を着る方も増えています。

写真映えしやすく色彩豊かなの現代の振袖はももちろん素敵ですが、古典柄が美しく重厚感のある昔の振袖も他にはない雰囲気で目を引きます。

刺繍半衿や帯締めを飾り付きの物にするなど、小物を少し変えるだけで現代風の装いにもなります。

着物を着る機会 フォーマル編 結婚式

花嫁衣装は時代によってことなりますが、現在の白無垢の原型となる白装束のスタイルは室町時代からで、白無垢の時にかぶる綿帽子は江戸時代中期以降に登場します。

江戸時代末期には黒や赤の打掛が見られるようになり胸元に挟んでいた懐紙は、七つ道具を入れる筥迫(はこせこ)に変わりました。

明治以降は黒振袖の裾模様に丸帯、島田髷に角隠しが一般的に。昭和三十年頃から打掛が復活し、最近では白の打掛の他に赤、朱、青、緑など様々な色のものがあります。

現在は教会式、神前式、仏前式、人前式などがあり、主役の新郎新婦はもちろん、親族や友人も着物で参列することが出来ます。

◆新婦の着物:白無垢、色打掛、引き振袖など
◆新郎の着物:黒紋付羽織袴
◆母親の着物:黒留袖
◆父親の着物:黒紋付羽織袴
◆親族の着物:黒留袖、色留袖、振袖、訪問着、付下げなど
◆友人の着物:振袖、訪問着、付下げなど

着物を着る機会 フォーマル編 お葬式

通過儀礼のしめくくりは弔事(ちょうじ)です。
喪服はもともとは白装束でしたが、大正以降は黒装束(黒喪服)が一般的となっています。

告別式は正式に喪服を着ますが、通夜や年忌(ねんき)には半喪(はんも)の装いとなります。

◆喪服:五つ紋付の黒の着物に黒共帯
◆半喪:ダークカラーの色無地の着物に黒共帯

着物を着る機会 フォーマル編 その他

古くからの通過儀礼の他にも、フォーマルの着物を着る機会はあります。

入学式

お子様の入園、入学式に付き添われる際に、フォーマルな着物を着るのも素敵ですね。

◆母親の着物:付下げ、訪問着、色無地、江戸小紋に袋帯で二重太鼓

卒業式

最近では大学や専門学校の卒業式だけでなく、小学校や保育園の卒業・卒園式でも袴が人気です。男の子の袴も増えていますよ。

◆本人の着物:振袖、訪問着、色無地、中振袖に袴/紋付羽織袴
◆母親の着物:付下げ、訪問着、色無地、江戸小紋に袋帯で二重太鼓
◆先生の着物:訪問着や色無地に袴

着物を着る機会 フォーマル編 まとめ

いかがでしたでしょうか。こう見ると意外とフォーマルな着物を着る機会ってありますよね。

今回あげたもの以外でも、お茶席やパーティなど、他にもフォーマルな着物を着る機会はたくさんありますので、ぜひ機会を見つけて着物を楽しんでみてくださいね。

自分で着れるようになりたい!綺麗に着せて欲しい!など、着付のことははもちろん、コーディネートのご相談も承っていますので、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

着物で笑顔に!

この記事を書いた人

山﨑 直子

山﨑 直子

ヴィーナスアカデミー講師
きものカルチャー研究所認定 矢野口教室主宰
きものカルチャー研究所認定 きものコンサルタント1級/着付講師1級
日本理美容福祉協会認定 福祉車いす着付師プロコース/袴コース修了
介護職員初任者研修 修了
日本舞踊柏木流 名取(名取名:柏木 美鈴)
着物姿でのMC/アテンドの仕事も承っています